また夜が明ける
あの鳥が去ってから5回目の朝だ
俺の生はまだ続いている




青い鳥はとんでいった 8






朝食を取る、食料を探す、昼食を取る、昼寝をする、食料を探す、夕食を取る、眠る
これが男の1日の行動だ
ただただ生きるために動いている

しかし、その日はなにか妙な気配がした
あの美しい不死鳥と出会った時の様な

ベットの上で男は何かを感じ取る
今日、何かが起こる

きっとそれは

与えられた生の終わり




期待と少しの恐怖を胸に男は起き上がり、身支度をする。
死を望んでいても、やはり死の恐怖は付きまとう。
身支度を整えて小屋の外に出た。

最後の日の食事を準備するために、足を進めた







最後だといってもこんな島では取れるものはたかが知れている。
結局はいつもと変わり映えのない朝食

さて、何をすればいいのだろう

いつもと同じことをすればいいのだろうか

朝から感じている異質な気配は時がたつにつれ強くなっている気がする
強くなるにつれ、男は怖くなる

死ぬということは怖いことなんだ

逃げ出したくなるほどの恐怖
しかし、それは男の意思とは関係なしにやってくるものだから
逃げることなどできない


何かで気を紛らわさなければ
恐怖で狂いそうになる


男は唄うことにした
唄を歌うことは好きだ
しかし、決して上手くない
下手の横好きというのだろうか
それでも男は唄うことが好きだった

一番好きな唄は母が教えてくれた唄だ
母は父に教えてもらったと言っていた
父は母の客だったらしい
母が惚れこんでいただけで、本当は違う客が俺の父なのかも知れない
でも、そんなことはどうでもいい
俺の父は母に教えてもらった人だけだ。

古い船乗りの唄らしい。
確か曲名は・・・


「ビンクスの酒・・・」

「そんな名前なのかぃ、あの唄は」


男以外の人間がいるはずないこの島で突然声をかけられ
男はひどく狼狽した


「後もう一つ聞き忘れたんだが、お前の名前は?」

・・・」

名を聞かれ思わず答えてしまった。
もう呼ばれることはないと思っていた己の名を

「そうか。、約束通り助けを呼んで来てやったよぃ。」

「え・・・?」

人の姿から不死鳥の姿へと変わっていく。
それはあの美しい鳥だった

「あのへたくそな唄も、もう一度聞いてやるよぃ。」


今日きっと、何かが起こる
それは生の終わりではなく
不死鳥との再会だった。


ただただ

嬉しくてたまらない


の頭からはごちゃごちゃと考えていたことはもう消え去っていた
死を望んでいたとか、与えられた生とか
もうどうでもよかった


「何度でも聞かせてやるよ。」


飛んで行った青い鳥は、戻ってきた。









あとがき

仲間に愛されるマルコと仲間に捨てられた主を書きたかっただけ
なんとなく消化不良な仕上がりになったのでいつかリベンジします
てか、名前変換が3か所しかなかった…orz




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